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2019年7月25日 (木)

蘇る記憶 (2)

(2)墓参り

「親父の自殺は、俺の為だった・・・」


そんな証拠はどこにもありません。

あるのは、『平成4年7月1日に親父は自殺して死んだ』という事実だけです。


しかし、既に私の心は、そう捉えていたのです。

私の潜在意識が、そう教えているのだと感じたのです。


24日は朝9時頃に出発し、11時頃にはお墓に到着して昼前には墓参りを終え、帰りは少し前に女の子を出産した若い仲間の所にでも寄ってから帰ろうかと考えていました。


途中渋滞したので、そこから帰りに寄れたら寄ろうと考えていた所に連絡をすると、このあと外出してしまい帰りは夕方になってしまうとのことで、夕方は私も買い物に行かなければならず、この日の帰りに寄るのは見送りにしたのでした。

そんなやり取りをずっとラインでしていたのに、渋滞は延々と続き、目的地の多磨霊園に着いたのは12時半近くになっていたのでした。


私は、近くのコンビニで親父が好きだった大福とUCCの甘い缶コーヒーとお茶をお供え物として買いました。

そして、近所の墓石屋で仏花を買い、墓前へと向ったのでした。


墓石を掃除し、花とお供え物を供え、そして線香に火を点けたのでした。

すると、大して風も無いのに線香の炎は大きく燃え上がり、何度吹き消しても燃え上がるのでした。

私は吹き消すのをやめ、しばらく燃え上がる炎を見つめていたのです。


すると、その炎がまるで、「家の中でずっとご主人様の帰りを待っていた犬が、やっとご主人様が帰って来て、喜んで飛びかかって来る姿」のように感じたのでした。


私は、「親父が喜んでくれているんだなぁ」と思ったのです。

そして、手にしていた線香を立て、墓前で手を合わせると、途端に線香の炎は消え、煙がスーッと真っすぐに上がっていくのでした。


「ごめんなぁ。親父の本当の気持ちに気づくまでに27年も掛かっちゃったよ」

「周りは、こんな俺をどう思うかは知らないけれど、これから俺は、親父の自殺の理由の真実は、『俺を守るため』であり、『俺を愛していたから』だって、『それが親父の愛し方』だったんだって、そう信じることにしたよ」


「これまで俺が死なずにやってこられたのは、息子のお陰でもあり、親父のお陰でもあったんだって、やっと気づいたよ」

「ありがとうな」


「それとな、明日、息子の最後の大学入試なんだよ。あいつが望むべき道に行けるように見守ってやってくれな」


私は、そう親父に語りかけ、墓前を後にしたのでした。


(つづく)

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