人生最大の気づき (5)
(5)呪縛からの解放
私の親父は自殺なのです。
私が27の時で、バツイチになって半年後のことでした。
親父が53になる少し前です。
私は親父が死んだ後、ずっと、「なんで?!」と、思い続けていたのです。
私の親父はずっと宗教をやっていて、お祈りばかりしている人でした。
私が小学生の頃は、一緒に密教をやらされました。
「千座行」といって、千日間、一日も休むことなく祈り続ける行でした。
毎週のように高尾山の裏口にある修行場に連れて行かれ、親父の滝行が終わるのを一人待たされました。
暇さえあれば密教の道場に連れていかれ、家族旅行なんて一度もしたことはありませんでした。
小学校のテストで100点を取って帰っても、「教えて貰ったことをやっているのだから、100点取るのが当たり前だろ」と、そういう親父でした。
その親父が自殺したのです。
それも、自分の車の中で首を吊ってです。
最初聞いた時は意味が理解できませんでした。
「車の中でどうやって首が吊れるんだ?」と思ったのです。
警察で説明されたのは、車の助手席の窓の上にあるグリップにロープを結び、助手席のヘッドレストの後ろからロープを通し、座席を倒すことで首が絞まるようにしていたとのことでした。
ですから発見時は、助手席で座席を倒して寝ている様な状態だったそうです。
そして、ご丁寧にも車のウィンドガラスに『第一発見者の方へ』と大きく書いた紙を貼り、その紙には管轄警察署の電話番号と、『これは事件や事故ではありません。自殺です。第一発見者の方は警察署へ連絡して下さい。』と書かれていたのです。
そして、警察署長宛ての手紙があり、そこには自分が死んだ後の遺体の処分についての依頼が書かれていたのです。
家族宛ての遺書には、『人間界での修業が終わったから、次の世界に行きます。』と書いてあったのです。
更には、私の知らない内に献体をしていて、死んだ翌朝には大学病院が遺体を引き取りに来ることになっていて、通夜も葬式も何も出来ない状況だったのです。
それが、親父が警察署長へ宛てた手紙の依頼だったのです。
私は、「なんだよそれ?!」、「ふざけんじゃねーよ!」、「なんで?!」って、訳が分からず怒声を上げ、泣き叫びました。
母と妹を帰宅させ、その日の夜は、私一人、親父の棺の横で眠りました。
母方の親族には一切連絡出来ませんでした。
当時は私が勤めていた会社の社長以外、誰にも言えませんでした。
そういう思いを息子にさせちゃいけないって、そう思って頑張って来たのです。
しかし、失敗し、絶望しかける度に、「俺は、親父より長く生きられないのかも知れない」と、何度も思いました。
ですから、一昨年53になった時は、何か呪縛みたいなものから、やっと解放されたような気がしたのです。
(つづく)
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