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2019年10月27日 (日)

俺の道 ~ 恋愛編 ❤ 第一部 ~ (30)

(30)小説化の成果

俺は、前話まで書いて9月度の研修に参加した。


それまでの俺は、この小説を完成させ、21日の『鏡の法則』のミュージカルに遥ちゃんと行くことが出来たら、その時にこの小説を渡そうと考えていた。


しかし、研修を終えた今は、もうその必要が無いことに気づいたのだった。


Wさんの店の仮オープンの時にKのハットを被り、笑顔でいた遥ちゃんに、俺は嫉妬を憶えた。


しかし、そのハットを被ったのが、彼女からの行為だったのか、Kからの行為からだったのかにより、意味が違ってくると、俺は考えていた。

それは、俺が昔のK社長の手口を知っているからだった。


遥ちゃんが笑顔であった状況から考えると、多分、付き合っているのだろうなぁとは思ったのだが・・・。

ただ、遥ちゃんの純真さを考えると、誰に対しても自然とそう出来る人だとも思っている俺がいて、まだ半信半疑なのだった。


しかし、研修2日目の午前中に俺は確信を得たのであった。

遥ちゃんとKの二人のサンダルが同じサンダルだと気づいたのだ。


そして、その日の夜、タバコ休憩の時、二人で並んで走っていく後ろ姿を見て、俺は嫉妬では無く、『良かったなぁ』と思っている俺に気づけたのだった。


遥ちゃんの新しい『恋』が始まったんだなぁと、思ったのだ。

5月に前の彼氏と別れ、傷ついていた彼女が、完全に元気になったのだと安心したのだ。


そして俺は、もし俺がこの小説を手渡せば、俺の心は満足出来たとしても、遥ちゃんにとっては重石にしかならないと悟ったのだ。


俺は、今回の研修での俺自身のテーマを、相手の『魂を見ること』、『魂を感じること』として参加した。

初日の『心構え』の項目では、俺の試験受けの時間が長くなってしまっていることを注意された。

しかし、『魂を見ること、感じること』に集中しようとしていて、いつもより気にならなかった。

そして、変化は2日目の『モチベーション』の項目の後半で突然現れてきた。


研修に参加していた20代の女性から、甘え上手な年下の元彼のことが、心にずっと引っかかったままであるとの話しを打ち明けられた。


彼女は彼に振られて一度別れ、その後彼には新たな彼女がいて、復縁した訳ではないのに、彼に甘えられるままズルズルと身体を許し、お金まで出してしまった自分を責め続けていた。

更には、それを慰めようとする親友の声を、拒否し続けて来てしまっていたことを、彼女は泣きながら悔いていたのだ。


以前の俺であれば、それは自分が悪いと、『自己責任』の考え方を説き、彼女を責めていたかもしれない。

そして、一方的にポジティブな考え方を押しつけるような言い方をしていたかも知れない。


しかし、この日の俺は違った。

彼女の父親になった気持ちで、彼女と一緒に涙した。

すると俺からは、彼女を責める言葉や、無理に動機付けする言葉は一切出てこなかった。


そして、自分を責めずに許すことを勧めた。

そういう弱い自分を受け入れることを勧めた。


話し終わった時、彼女は笑顔になり、自らの意思で前を向いた。

そして、これからの生き方を決意した。


俺は、俺の中での合格点を与えた。

その後、彼女は無事合格した。


彼女の試験受けは、これまでの俺にはなかったやり方だった。

この小説を書いていて気づいた、『方程式』を使っただけだった。


『魂を見ること』に集中していると、『魂が元から汚れている人はいない』という考え方になっていた。

『みんな、良くなりたい、幸せになりたいと思いながら、知らない内に今の自分になってしまっているのだ』と思えた。

『誰も悪くは無いのだ』と思えた。

責める言葉は出て来なかった。


この時の俺は、それまでに感じたことがない感覚を覚えた。

彼女の心に寄り添えたと感じられたのだった。


それまでの合格点を出した時の共感共鳴による高揚感とは違った感覚だった。

何か充実感のような、安らぎに似た感覚だった。


その後の40代の男性も同じだった。


最初は無表情で頑なだった人が、いつしか俺の前で号泣していた。

俺は、俺の中での合格点を出し、その後彼は合格した。


合格した彼を迎えてハグをした時、俺は彼から言われた。


「先生の名前を教えて下さい」


彼はそう言って、俺の裏返っていた名札を見たのだった。

俺は内心、「俺は先生じゃないんだけどなぁ・・・」と思いながらも、無性に嬉しかった。


更にその後の40代の女性も同じだった。


彼女は、自分の会社の女性社長の夢や志といった『想い』を社員に伝える役割だといった。

そして、社長のことは大好きで、社長のその想いを伝えようとすればするほど、その想いは伝わらなかった。

逆に周りからは、彼女自身が凄い人のように思われ、現実の自分は違うのにと、そのギャップに苦しんでいた。

また上司からは、それが上手く出来ていないことを責められているように感じていた。

そして、これからどうしていけば良いのかを彼女自身が見出せずにいた。


はじめの内は、その苦しみからか、ポロポロと涙していた彼女であった。

その彼女に対し、俺は一緒に悩み苦しんだ。

そうしたら、俺から自然に出てきた言葉があった。


「なんで、社長の想いを社員に伝えるだけなんだろうね?」

「社長は、社員の考えや意見も知りたいんじゃないかなぁ?」

「社員も自分たちの想いを社長に伝えたいんじゃないかなぁ?」


それまでポロポロと泣いていた彼女の顔がパッと輝いたのだ。

彼女は気づいたのだった。


今までは、社長から社員への上から下だけだったことに。

社員から社長への下から上へも出来ることに。

そして、それが出来る立場にあるのは、自分しかいないことに。

更には、そのやりがいに。


彼女は晴れ晴れとした笑顔になった。

俺の隣で聴いていた、トレ研で参加して来ていたMさんも、その笑顔への変化に驚いていた。


俺は、俺の中での合格点を出した。

そして、その後彼女は無事合格した。


この日の俺は、一度も大きな声を出さなかった。

そして、俺は思った。


「人の気持ちに寄り添うということは、こういうことだったのかぁ・・・」

「引き出さずとも、寄り添えば自然に出て来るんだなぁ・・・」


俺は、今回の研修でこの3人に教えて貰ったのだ。


俺は、小説化に気づき、『俺の道』小学生編と、この恋愛編を書いて気づいたことの成果を感じられたのだった。


そして、小説化に気づかせてくれた遥ちゃんの存在に感謝したのだった。


(つづく)

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