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2019年11月 2日 (土)

俺の道 ~ 恋愛編 ❤ 第一部 ~ <番外編> (2) 『完』

(2)卒業

駅に向って歩きながら、主演の樋口麻美さんの演技に驚かされたことを俺は遥ちゃんに話した。

そして、駅前の信号に差し掛かった時、俺はつぶやいた。


「タバコ吸いてぇ~」


「そうですよねぇ~」


遥ちゃんも同じだった。

俺は喫煙所を探した。

周囲には見当たらなかった。


俺は、遥ちゃんに声を掛け、駅の近くに居た係員のような人の所へ小走りで聞きに行った。

すると、この駅に喫煙所はないとのことだった。

俺がしばらく東京に来ていない内に、東京は喫煙にかなり厳しくなっている感じがした。


遥ちゃんの所に戻り、喫煙所が無いことを話すと、遥ちゃんは言ったのだった。


「何処か喫茶店にでも入りましょうか」

「ミュージカルのことも話したいし」


俺たちは駅の反対側まで歩き喫茶店を探した。

しかし、今度は喫茶店が見つからなかった。

目に入って来たのは居酒屋だった。


そして、居酒屋を通り過ぎた後、遥ちゃんが言ったのだった。


「一杯だけ飲みましょうか?!」


「俺はコーヒーよりそっちの方が良いけど、仕事の方は大丈夫なの?」


「少しなら大丈夫です!」


「じゃあ、一杯だけね」


俺たちはUターンし、さっき通り過ぎた居酒屋に入った。


俺は生ビール、遥ちゃんはサワー、それとちょっとしたつまみを頼んだ。

昼間だと言うのに店は結構一杯だった。

食べ物も飲み物も、全て3~400円で、俺は随分安い店だと思った。


俺と遥ちゃんは、直ぐにタバコに火を着けたのだった。

一服して、俺はやっと落ち着いた。


直ぐに飲みものが運ばれて来た。

俺たちは乾杯をした。

二人とも一杯目は直ぐに空いてしまい、2杯目を注文した。

俺は、生からハイボールに変えた。


遥ちゃんは、俺にチケット代を払おうとした。

俺は、良いよと拒んだのだが、遥ちゃんは引かなかった。

そこで俺は言った。


「じゃあ、ここの飲み代ご馳走して」


遥ちゃんは笑顔で納得してくれた。


俺たちはミュージカルの話しはそこそこに、話題は研修に関することになった。

遥ちゃんがトイレに立ち、時間を見ると既に16時を過ぎていた。

俺は席に戻った遥ちゃんに時間は大丈夫か聞いた。

遥ちゃんは、もう少しならと答え、俺たちの杯は進んだ。

俺はTとの約束が気になっていた。


俺は、9月の研修で、自分の中に大きな変化があったことを話した。

そして、そのきっかけが遥ちゃんであり、そのことを小説風に書いたことも話した。

すると、彼女から思いがけない言葉が出て来た。


「じゃあ、その小説が売れたら、印税の1%を私に下さいね」


俺は内心、そういうのじゃないんだけどなぁと思いながらも了解した。

そして、俺は思ったのだ。


「あ、ブログに出しても大丈夫だな」

「ま、見つかりはしないだろうしな」

「バレたらバレたで、なんとかなんだろ」

「しかし遥ちゃん、印税の1%って、案外そういうところはしっかりしてんだなぁ・・・」


俺はこの時、『恋愛編』を最終的にブログにアップすることを決めたのだった。

そして、遥ちゃんが2度目のトイレに立ち、時間を見ると既に17時近かった。

トイレから戻った遥ちゃんに俺は再度時間の方は大丈夫なのかを聞いた。

するとまたもや遥ちゃんは、もう少しならと答えたのだった。


俺はTとの約束が気になっていた。

もうそろそろ終わるだろうと思い、俺もトイレに立った。

そして、俺はTにLINEで状況を連絡した。


トイレから戻ると、遥ちゃんは更につまみを頼んでいたのだった。

既に互いに4~5杯ずつ飲んでいて、俺はほろ酔いだった。

そこから互いにエンジンが掛かった感じになってしまったのだった。

遥ちゃんは、「絶対に言わないで下さいよ!」を連発しながら、会社や研修に対する自分の思いを話してくれた。

俺も、「絶対に内緒だよ」と言いながら本音を話した。


また、遥ちゃんは、以前自分が出演したミュージックビデオを見せてくれた。

そこに映っている遥ちゃんは別人のようだった。


気づくと19時近くになっていた。

俺は、Tとの約束は無理だと判断した。

俺はトイレに立ち、LINEでTに連絡したのだった。


トイレから戻った俺に遥ちゃんは言ったのだった。


「こんなんなら、麻布十番のお蕎麦屋さん行けば良かったですねぇ~」


「そうだねぇ・・・」


俺はそうとしか答えられなかった・・・。

内心では、それは俺の台詞でしょうと思いながら・・・。


その後、会話の中で、俺が遥ちゃんと付き合っているだろうと思っていたKのことを、遥ちゃんが良く言わないことが何度かあった。

そして途中、Sちゃんから遥ちゃんにLINEが来た。

俺がどうしたのか聞くと、どうやらKたち数人がWさんの店で飲んでいて、KがSちゃんから遥ちゃんを誘って一緒に来て欲しいと連絡が来たという内容だと遥ちゃんは言ったのだった。


それを聞いた俺は少しおかしいと思った。

「Kが遥ちゃんと付き合っているなら、直接連絡すれば良いのに・・・?」

「もしかして、二人はまだ付き合っていないのか??」


そう思った。

しかし、直ぐにそんなことはどっちでも良いと思った。

『恋愛編』を書き上げた俺の遥ちゃんに対する想いと対応は既に決まっていたのだ。


俺は遥ちゃんが誰と付き合おうと、遥ちゃんが幸せならそれでいいと思っていた。

そして、俺のその想いは、もう『恋』ではなく、『愛』に近いものなのではないかと思っていたのだ。

人間としての愛に・・・。


結局俺たちは22時までその居酒屋で飲んだのであった。

お会計は俺がトイレに行っている間に遥ちゃんが払っていた。

店に入ったのが15時過ぎだったから、なんと7時間近くも飲んでいたのであった。


俺たちは一緒に帰路についた。

そして、俺たちは東西線に乗った。

俺は日本橋での乗り換えだった。


電車の中で何を話したのかは覚えていないが、俺が降り際に遥ちゃんは加藤茶を引き合いに出し、何やら俺は励まされたのであった。

そして、降りる際に握手をして、俺は電車を降りたのだった。


電車を降りた俺は彼女に向って小さく手を振っていた。

彼女も手を振り返してくれた。

そして、直ぐに発車すると思っていた電車は直ぐに発車しなかったのだ。

俺は、降りた人たち全てが居なくなった後も小さく手を振り続けた。

彼女もそれに応えて手を振り続けてくれた。

30秒か、1分か・・・。


何故か、その時間が妙に長く感じた。

その時、俺はある光景を思い出した。

18歳になる少し前から同棲した彼女のことを。

その彼女は、茨城の日立の子だった。


同棲する前の彼女は、毎週末俺に会いに来た。

そして、1~2泊して日曜の夜、俺は上野駅まで彼女を送って行った。

時にはハグをし、時にはキスをして発車のベルで車内と車外に別れ、電車が発車し、彼女の顔が見えなくなるまで俺は手を振っていた。

その時の光景を俺は思い出したのだった。


その彼女との別れは良いものではなかった。

ある日、彼女は突然姿を消したのだ。

俺に内緒で、俺の名前で組んだ化粧品のローンを沢山残して・・・。


彼女と別れた後の俺は、遠距離恋愛時代のことを一度も思い出したことは無かった。

しかし、何故か思い出したのだ。


遥ちゃんに手を振っている自分が、まるで遠距離恋愛をしているような錯覚に襲われた。

そして、遥ちゃんが乗った電車が発車した後、俺は彼女にLINEを送った。


「なんか昔の遠距離恋愛みたい」


きっと彼女には何の意味か分からなかっただろうと思った。

でも、それでも良かった。


昔の自分を思い出し、俺にもそういう時代があったんだなぁと思えただけで、何やら自分が若返ったような気になったのだった。


そして、俺は浅草線に乗り換えるべく、歩き出した。

途中にトイレがあり立ち寄った。

そして、俺は浅草線に向ったのだった。

しかし、着いたホームは、さっき遥ちゃんに手を振っていたホームだった。


俺は一瞬、狐につままれたような気持ちになった。

そして、自分が酔っていることに気づいた。

すると何やら自分が可笑しくなり、俺は声を上げて笑った。

結局、その日俺が帰宅したのは、午前1時近くになったのであった。


その後の俺は、1週間程はそれまでと変わらない感じで遥ちゃんにLINEを送った。

そして、徐々に距離を取るようにしたのだった。


こうして俺は、無事、遥コーチから卒業したのであった。


しかし、ここでもまた、俺は気づかせて貰った。

10代で初めての同棲相手に対する俺の捉え方が変化したことに。

別れた後は、どうしても出会った頃の記憶より、別れた頃の記憶の方が強く残っている。

それは、決して良いものではない。

しかし、こうして記憶が呼び起こされ、良かった時のことを思い起こされると、全てがあれで良かったんだと思えて来る。

そして、未熟だった自分を反省する気持ちも生まれて来る。

すると、これからの未来に対する新たな希望が湧いて来るのだった。


バツ2になってから2年位経った頃だった。

ある日、車を運転している時にラジオから突然聞こえてきた言葉だった。

俺は、その言葉に衝撃を受け、思わず車を停めて、その言葉をメモした。


   男は

   判断力の欠如によって結婚し

      忍耐力の欠如によって離婚し

         記憶力の欠如によって再婚する


俺は思うのだった。

俺の人生、『二度あることは、三度ある』の人生となるのか?

それとも、『三度目の正直』となるのか?


人生、何があるか分からない!

だから、面白い!

俺の人生、まだまだこれからだ!!


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