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2019年11月18日 (月)

俺の道 ~中高生編~ (16)

(16)魚市場の代償

冬休みを前にし、俺は小学校の頃から仲の良かったK川からアルバイトの相談をされたのだった。

この頃の俺は、K川とのつきあいはほとんど無くなっていた。

K川は俺と違って真面目だった。

K川は、俺が辞めた後も真面目にサッカー部を続けていたのだった。


そんなK川が、冬休みの間だけバイトをしたくて、俺に一緒にやってくれと頼んできたのだった。

その頃の俺は、夕方から深夜までは、ほぼ毎日ファミレスのバイトに入っていたのだ。

俺は、それ以外の時間だったら良いよと了解した。


冬休み中にK川と一緒にバイトをすることにした俺は、仲の良かったM沢にも声を掛けたのだ。

M沢は、金には困っていなかったが、面白そうだと一緒にやることになった。

俺たちは三人で働ける場所を探した。


そして、俺たちは東久留米にある魚市場でのバイトを見つけたのだった。


早朝4時から10時頃までのバイトだった。

時給はいくらだったかは覚えていないが、確か800円位だったと思う。

普通のバイトよりはかなり良かった。

俺たちは三人そろって面接に行った。


面接に行った先は、魚市場の中にある小さな魚屋だった。

三人まとめて雇ってくれることになった。

俺たちが働けるのは、26日~30日までの5日間だけだった。

年明けは出来る日が無く、俺たちは年末の5日間だけ働くことにしたのだ。


俺たちは、12月26日の朝4時に来るように言われたのだ。

冬休みは26日からだった。

26日の朝3時過ぎにK川は俺んちまでチャリンコで来た。

K川はまだ原チャリに乗っていなかったのだ。


俺はK川を後ろに乗せ、原チャリの2ケツでM沢のアパートに行った。

そして、K川はM沢のRDの後ろに乗り替え、2台で魚市場に行ったのだった。


俺たちはまず、長靴を履かされ、ビニールのエプロンを貸し与えられた。

俺たちを雇ってくれた店は、主にマグロを解体して売る店だった。


でっかいマグロは、最初は日本刀よりも長い刀のような包丁で切られていった。

そして、どんどん解体され、部位ごとに色んな大きさの塊になっていった。

この店は、マグロを塊で売る店だったのだ。


俺たちの仕事は、解体前のマグロをターレという運搬車で運んで来ることと、マグロを買ったお客さんの車まで商品を運ぶことだった。

ターレの運転は簡単だった。

遊園地の乗り物に乗っている気分だった。


6時前に朝食の賄いを食べさせてくれた。

賄いは、マグロ丼だった。

そして、賄いを食べ終わる頃には、徐々にお客さんが増えて来たのだった。


6時を過ぎてからの人の増え方は半端じゃなかった。

あっという間に市場は人で一杯になった。


楽勝だと思っていたターレの運転は、全然楽では無かった。

人ごみの中を縫って走るのはことのほか難しかった。

俺たち三人は交代でターレを運転した。

ターレが出ていて、荷物が手で持てる量の時は、手で持ってお客さんの車まで運んだ。


8時を過ぎると徐々に人は減って行った。

9時を過ぎると人はまばらになって行った。

10時前に俺たちの仕事は終わった。


ピークは6時~8時の2時間だった。

帰りは、M沢にK川を俺んちまで送って貰い、俺んちでの解散となったのだった。

魚市場の仕事はそれほどきついものではなかった。

しかし、普通より時給が良かったことの代償を俺たちは初日から払うことになったのだった。


その代償は、足のしもやけだった。

冬場の魚市場の床は、常時水が流され、めちゃくちゃ足が冷えて痛かったのだ。

俺たち三人は、みんな同じだった。

翌日から俺たちは、靴下を2枚重ねにして行くことにしたのだった。


(つづく)

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