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2019年12月 6日 (金)

俺の道 ~自立編Ⅰ~ (3)

(3)天上天下唯我独尊

当時の俺は、集会があるから走るのでは無かった。

俺は、毎朝毎晩一人で走っていた。

その中で、週末になると集会があったから出ていたという感覚だった。


俺は、総長とか、特攻隊長とか、親衛隊長とか、そういう肩書みたいなものには全く興味が無かった。

俺が唯一拘ったのは、特攻一番機の信号止めだった。


信号無視で先頭で交差点に進入して車を止め、全車両が通過するまで空吹かしし続けるのだ。

そして、全車両が通貨した後、最後尾から反対車線を再度先頭まで走り抜き、先の信号をまた止めるという役だった。


通常の集会だと2~300台で、交差点内で止めている時間は数分レベルなのだが、大規模な集会で1,000台を超える様な時は、信号止めの時間も10分以上になり、最後尾から先頭までは1Km以上になっていた。

最後尾から反対車線を全開で先頭まで走り抜くのは爽快だった。


新青梅街道などの中央分離帯のある道路の反対車線を全開で走るのは特に快感だった。

前からダンプが並んで走って来ても、俺はダンプとダンプの間のど真ん中から正面に突っ込んで行っていた。

後ろに乗っていた奴は、悲鳴を上げ、すり抜ける瞬間は、後ろの奴の股間に思いっきり力が入るのが分かって面白かった。


俺を避けるために事故っていた車もあった。

次第に俺は、仲間内からキチガイ扱いされるようになった。

そして、俺の部屋には更に毎日人が集まるようになっていったのだった。


そんなある日、花小金井の幹部が俺の部屋に集まっていた。

そして、頭のI森が言ったのだった。


「俺たちは今後『硬派集団』で行く!」

「シャブ厳禁、全員髪は黒で二グロにしろ!」


真っ先に異を唱えたのは俺だった。


俺は金髪のアフロだったのだ。

俺と同じ長髪系は、俺の他はN村とTの二人だけだった。

I森の言った言葉は、正に俺たち三人に言った言葉だったのだ。


俺は言った。


「てめぇ、誰に口利いてんだぁ?!」

「おめえは、エンペラーの頭かもしんねーけどなぁ、俺はてめえの舎弟じゃねぇんだよ!」

「エラそうな口利いてんじゃねーぞ、この野郎!!」


俺とI森は言い争いになったのだった。

そして、いつしか俺の身体は勝手に動き、気づいた時にはI森に馬乗りになっていたのだった。

I森のあまりの弱さに俺は拍子抜けした。


そして内心では、そんな弱いI森が三中出身の悪どもを束ねて頭を張っているのは、こいつには人望があるんだろうなぁと思ったのだった。

俺には無いものをこいつは持っていると思ったのだ。


俺はI森を放して言った。


「俺に命令するな」

「でも、お前の頼みだって言うなら聞いてやるよ」

「但し、一回だけだけどな」


結局、I森は俺に二グロになってくれと頼み、俺はそれを聞いてやることにしたのだった。


みんなが帰り、N村とTと俺の三人になってから、俺は二人から言われたのだった。


「お前がもう少し頑張ってくれれば、俺たちも二グロにならずに済んだのによ~」


俺は言ったのだった。


「あそこで俺がI森を締めちまったら、あいつのメンツが丸潰れだろーが」

「それでも良かったのかよ?」


二人は言ったのだった。


「まぁ、しょうがねぇなぁ・・・」


この頃の俺たちは、三人で同居状態だったのだ。

働いているのは俺一人だった。

N村も俺が入った後は休んでばかりで、結局仕事がキツくて続かずに辞めていたのだ。

Tはアンパン小僧で最初から仕事に就いてないプー太郎だった。


何だかんだで、俺はこの二人を食わしてやっていたのだ。

俺が買い置きしていた食料を、こいつら二人は俺のいない間に食ってしまうのだ。

一度、月末の金の無い時に、冷蔵庫の中を見るとキャベツが半分しか無い時があったのだ。

その時は、俺がキャベツを千切りにして、ソースをかけて三人で分けて喰った記憶が鮮明に残っているのだ。


今となっては、良い思い出だ。


しかし、俺は今でもそうなのだが、人に命令されると、ことの良し悪しに関わらず、反射的に反抗してしまうのだ。

逆に同じことでも、お願いされると、一肌脱いでしまうタイプなのだった。

言われ方の違い一つで俺の反応は変わってしまうのだ。


俺は、自分でも結構バカな奴だと思う。

もう少し上手い生き方もあったと思うのだが、そういう性質なのでしょうがないのであった。


(つづく)

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