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2019年12月18日 (水)

俺の道 ~自立編Ⅰ~ (10)

(10)無休への道

8月の構内作業は、夏休みシーズンで米の貨物は減り、ビールが増えるのだった。

ビールは、ほとんどがフォークリフトの作業だったから構内作業は暇だった。


逆に引っ越しはシーズンで、俺は連日引っ越しに駆り出されたのだった。

俺にとっての引っ越しは、昼飯は出るし、チップは貰えるしで、まさに天国だった。

財布の中の金は減るどころか日に日に増えて行ったのだ。


チップはドライバーも作業員も関係無く、一緒に行った者で山分けだった。

今の引っ越しではチップの慣習は無いようだが、当時は一回の引越しで、一人2~3千円位は貰えたのだった。

多い時は、5千円とか、時には1万円というのもあった。


しかし、ある日突然、俺だけが構内に残され、後輩連中の3人が引越しに行ったのだ。

俺は、N谷社長に文句を言いに行った。

なんで、俺だけが居残りなのかと。

俺はてっきり、N谷社長の嫌がらせかと思ったのだった。


しかし、理由は全然違う所にあった。

その理由は、俺がグリーンの作業服を着ないことにあったのだ。


そして、俺はこの時初めて社長と色々なことを直接話したのだった。

すると、構内作業が暇なのに俺だけが引越しの手伝いに出されていたのには、N谷社長の優しさであったことを知ったのだった。

N谷社長は、引越しの方が楽でチップが出ることを知っていたのだ。

そして、俺のこれまでの頑張りを認めてくれ、俺を優先的に稼がせてくれていたのだと知ったのだった。


俺はてっきり、後輩連中を俺がコントロールして社長の言うことを直接聞かせない様にしたことへの仕返しかと思っていたのだ。

しかし、それは俺の思い過ごしだったことに気づかされたのだった。


話しを聞くと、N谷社長もフォークリフト運転手のN本さんとコンビで、若い頃はかなりの悪だったのだ。

立川では超有名人だったらしく、ヤクザも二人が通ると道を開けるほどだったらしい。

見た目は50近いショボイおっさんだったのだが・・・。


俺は、N谷社長に俺が間違った見方をしていたことを詫びたのだった。

そして、引っ越しの時はグリーンの作業服に着替えることを約束したのだ。


そして、N谷社長から、引越しは日曜日がメインだと聞かされた。

そして、構内作業が休みの日曜日も仕事をするかと聞かれた。

俺は二つ返事でやることにしたのだった。


この時から俺は、無休の道を選んだのだった。


(つづく)

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