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2020年1月12日 (日)

俺の道 ~自立編Ⅰ~ (15)

(15)初めての留置場

俺は前夜のことを思い出していた。

しかし、直ぐには思い出せなかった。


俺が考えていると、担当官は既に出来ている調書を読み始めたのだった。

そして、読み上げられる内容を聞きながら、次第に俺は前夜のことを思い出し始めたのだった。

読み上げられた内容は、俺の記憶とは全然違っていた。


担当官は、最後まで読み上げた後、俺に聞いた。

これに間違いがないかと。

そして、間違いが無ければ、署名と拇印を押すように言われた。


俺は言った。


「ふざけんじゃねーぞ、この野郎!」


内容は酷いものだった。


その調書は、俺にチョーパンを入れられた警官の供述を基に作られたものだった。


石は俺が投げたことになっていた。

更には、その石がチャリンコに当たったことになっていた。

一方的に俺から手を出したことになっていた。

パンチを顔面に10数発、腹にキックを20数発入れたことになっていた。


俺からすれば、丸っきり出鱈目な調書だった。


俺は、石を投げてないこと、石のことなんか知らないことをまず主張した。

Y崎さんが不利になることを言うつもりはなかった。


そして、Y崎さんの相手だった警官が先に手を出したこと、俺が警官の顔面にチョーパンを1発入れて、倒れた警官の腹に5~6発のケリを入れたことは認めた。

しかし、パンチは一発もなぐっていないこと、20数発もケリを入れていないことを主張した。


俺が袋叩きになったことは書かれていなかった。


担当官は、相手の警官の調書を素直に認める様に何度も俺に言った。

認めれば直ぐに出してやるとも言って来た。


しかし、俺は頑として相手の調書を認めなかった。


俺はY崎さんのことを考えた。

Y崎さんも同じ主張をしているはずだと思っていた。

Y崎さんは、ズル賢くはあったが、根性はある人だと思っていたのだ。


担当官は、何度も同じ調書を読んでは、俺に認めるように迫った。

しかし、俺は一切聞き入れなかった。


担当官は、面倒臭そうに渋々新たな調書を作成し始めた。

そして担当官は、書きながら何度も元の調書の内容に近づけようとしたが、俺は否定した。

担当官は、何度も書き直した。


最終的に俺は、俺が主張して書き直された調書に記名し、拇印を押した。

少年係の取調室を出された俺は、留置場へと連れて行かれた。


留置場に入る前、横の部屋に連れて行かれ、俺は全裸になるよう言われた。

俺は、ここまで来てジタバタしてもしょうがないと開き直った。

俺は全裸になって胸を張った。

すると、前屈みになるよう言われた。


俺は前屈みになって股の間から後ろを見た。

後ろにいた検査官と目が合った。

すると、検査官が俺のケツの穴を見てO.Kを出した。

終わってから俺は、急に恥ずかしくなって来たのだった。


留置場に入ると、中央に半円形の一人用の看守の席があった。

そして、それを囲む形で扇型でいくつにも区切られた牢屋になっていた。


留置場の部屋は何も無い、壁も床もコンクリートで、肌色のような明るいベージュに塗られていた。

毛布が一枚あるだけだった。


俺は、中央の看守席から見て、一番左側の部屋に一人で入れられた。

他の部屋にはそれぞれ2~3人が入れられていた。

俺は少年だったことから、他の成人とは分けられていたのだ。


Y崎さんがどこにいるのかは分からなかった。

留置場に入ると、お金と衣類の差し入れが可能だと言われた。


俺は、親に差し入れを頼むように看守から言われたが拒否した。

親には、何もいらない、面会にも来るなと言った。


俺は少年係の担当から、初犯だから多分2~3日で直ぐに出られるだろうと言われていたのだった。

それくらいなら我慢出来ると思った。

情けを掛けられたくなかったのだ。


しかし、結果的にはそれが裏目に出たのだった。


(つづく)

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