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2020年1月13日 (月)

俺の道 ~自立編Ⅰ~ (16)

(16)地検

留置場のトイレは壁が無い和式だった。

大便は、入口に向ってする形で、看守に見られたままで、落着いてすることは出来なかった。


昼過ぎに休憩時間が少しだけあった。

狭いスペースだったが、そこは天井が無く外気が吸えた。


大人たちはタバコを吸っているようだったが、俺には与えられなかった。

俺は大人たちとは分けられたから話し相手もいなかった。


俺だけ独房状態だった。

俺の楽しみは、三食の丸警弁当だけだった。


そして、後から知ったのだが、金を差し入れて貰っていれば、弁当の追加や別のおかずの購入が出来たのだった。

しかし、差し入れを拒否した俺には、追加で買う金はなかったのだ。

これには俺も流石に失敗したと思った。


正確には憶えていないが、確かパクられてから3日目だったと思う。

人数的には5~6人だったと思うが、俺たちは留置場を出され、手錠を嵌められ、腰縄を巻かれ、一列で等間隔に並び、手錠にロープを通されたのだ。


Y崎さんはいなかった。

俺は、パクられてから一度もY崎さんと会っていなかった。


警察署の入口を出ると、表にはグレーに塗られた護送車が待っていた。

乗り込むと先に何人かが乗っていた。

これも正確には憶えていないが、何箇所か別の警察署も周り、その都度数人が乗って来た。


護送車に乗せられた俺は何処に連れて行かれるのかと思った。

しかし、そんなことを考えてもしょうがなかった。

俺は聞く気もしないし、教えてくれる人もいなかった。


脱走とかは丸っきり考えていなかった。

成るようになるだろうと思っていた。


連れて行かれたのは地検だった。

場所が何処だったのかは憶えていないが、そんなに遠くはなかった。


俺の担当検事がどんな人だったかは覚えていないが、スーツを来た男だった。


俺は検事のデスクの向いに座らされた。

そして、調書を読み上げられた。

読み上げられた調書は、俺が署名した調書ではなく、俺が署名を拒否した調書だった。


俺は冷静に対応し、否定した。


検事は俺に言った。


「100歩譲って、君の言っていることが真実だとしても、君は酒に酔っていたんだ」

「相手は酒を飲んでいない警官だ」

「どちらの言い分を信じると思う?」


俺は言った。


「警官なんでしょうね」

「でも、あいつは嘘をついている」

「俺は、嘘をついていない」


俺は理不尽さを感じた。


俺は、警察側が勝手に作った調書を全く認める気はなかった。

Y崎さんも、そんな理不尽なことを認める訳がないと思っていた。


俺は、拘留延長となった。


小金井警察署に戻った俺は、また同じ留置場に戻された。

留置場に戻された俺の所へ少年係の担当官が来て言った。


「なんで認めなかったんだ?」

「認めてれば、今日出られたんだぞ」


俺の気持ちはそんな言葉では揺らがなかった。

俺は思っていた。

絶対、俺の主張を認めさせてやると。


(つづく)

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