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2020年1月11日 (土)

俺の道 ~自立編Ⅰ~ (14)

(14)初めてのブタ箱

1981年12月10日。

俺は1ヶ月前に17になったところだった。

その日は、Sさんも入社から2ヶ月近く経ち、大分仕事も慣れて来た状況になっていた。


俺はSさんと東小金井駅北口の寝床で飲んでいた。

そこへ、トーケンのY﨑さんが一人で飲みに来て、俺たちと合流したのだった。


Y崎さんは、30ちょいのトーケンの引っ越しチームだったから、俺は良く知っていたのだ。

Y崎さんは、見た目は普通の人だったが、仕事を一緒にすると、何気に一人で休んでいたりして、ズル賢い感じがある人で、特に好きにはなれない人だった。

ただ、Y崎さんは群れるタイプでは無く、酒は時々一緒に飲んでいて、嫌いではなかった。


寝床で散々飲んだ後、俺たち三人は、Yちゃんの『樹々』に飲みに行くことにしたのだった。

いつもだったら、東小金井駅を渡って反対の南口に出て『樹々』へ向うのだが、何故かその日は違った。


俺たちが日中に作業している貨物駅構内を抜け、構内の少し先にある踏切を渡って行く、少し遠回りなルートを選択したのだった。


師走になり、俺たちの気持ちも高揚していたのだと思う。

俺たち三人は、歌を歌いながら歩いていたのだった。


俺たちが踏切の手前30m位に差し掛かった頃だった。

向い側から踏切を渡って二台のチャリンコが走って来たのだ。


その二台は、巡回中の警官だった。


後から知ったのだが、その日から警察は年末警戒態勢に入っていたのだ。

二台のチャリンコ警官は、歌を歌いながら歩いていた俺たちとのすれ違い様に言ったのだった。


「うるさいぞ!静かにしろー!」


俺は言った。


「バーカ!」


そして、Y崎さんが突然10cm程の大きめの石を拾って、走り去っていく警官に向って投げたのだった。

石は、警官までは全然届かなかった。


しかし、一人の警官が当たらずに転がった石に気づき、ダッシュでUターンして来たのだった。

そしていきなり俺に向って言ったのだ。


「今、石を投げただろー!!」


俺は言った。


「投げてねーよ!」


「じゃあ、誰が投げたんだ!」


そして、ニタニタ笑っていたY崎さんの襟首を掴んで言ったのだった。


「お前だな!」


Y崎さんはシカトしたのだった。

すると、もう一人の警官も来て、そいつは俺の襟首をとったのだった。


俺は怒鳴った。


「ふざけんじゃねーぞ!この野郎!!」


俺と警官の間にSさんが入り、Sさんは俺を一生懸命に止めたのだった。

Y崎さんの方を見ると、Y崎さんは警官に殴られた瞬間だった。

そして、Y崎さんも殴り返していた。

その瞬間、俺はブチ切れた。


「てめぇー、やりやがったな、この野郎!!」


俺は、俺の襟首を掴んでいた警官の腕を払い、警官の頭を掴んで顔面にチョーパンを入れた。


警官はもんどりうって後ろに倒れた。

俺は倒れた警官の腹に数発の蹴りを入れた。

そして、やられていたY崎さんに加勢したのだった。


Sさんは、間で止めに入りオロオロするばかりだった。

Y崎さんに加勢した俺は乱闘状態になった。


すると、俺たちは一気に数台のパトカーに囲まれた。

あっという間だった。


そして俺は、警棒で殴られ5~6人の警官に袋叩きになったのだった。

俺の意識はそこで無くなった。


翌朝、俺が目を覚ますと、一瞬自分が何処にいるのか分からなかった。

頭がガンガンした。

良く見ると、鉄格子の中だった。


俗に言われるブタ箱だった。

中に居るのは、俺一人だけだった。

俺は毛布一枚も無く、ただコンクリートの地べたに転がされていたのだった。


俺は思った。


「これが、ブタ箱ってやつかぁ・・・」

「痛ってぇ・・・」

「あいつら散々やりやがって・・・」

「くっそぉ・・・」


相当殴られたらしく、体中がバキバキで痛かった。


少しすると鉄格子の外に一人のスーツ姿の男が現れた。

男は、小金井警察署の少年係だった。


俺は、鉄格子の中から出され個室に連れて行かれた。

個室は少年係の取調室だった。


Y崎さんとSさんのことが心配になり、俺は二人のことを聞いた。

Y崎さんは一緒にパクられ、Sさんは事情聴取を受けてから帰らされたとのことだった。

そして、俺への尋問が始まったのだった。


(つづく)

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